2010年 04月 28日
イレウスとストマ
イレウスとストマ・・・、何のことだかわかります?
機動戦士ガンダムの登場人物? ベルサイユのばらに登場する人物? なんだか判らないけれど新しいアニメの題名? 一体何のことだろうって、思ってるんじゃないかな?
実はこの言葉、じろじろに関係している言葉なんです。

ストマ(またはストーマ)とは、『人工肛門』 のこと。ぼくはじろじろがストマを設置するまでは、文字通り肛門のところに何か器具でもつけるのかなって 『人工肛門』 のことをイメージしていた。でも実際は 『人工肛門』 というより 『人工排泄物一時保管袋』 という感じかな。肛門から排泄することを一時的または永久に回避するための処置で、その位置は人によって違うけれどおおむねおへそから8~10cm位横(上下の位置はそれこそ人により違っていて、じろじろはおへその位置より少し上)。じろじろの場合、そこに小腸の出口が出ている。本来は大腸で一旦ためて水分を抜いた状態のものが排泄されるんだけれど、小腸の出口にはその機能がないため常にだらだらと排泄されている状態。そこでその小腸の出口に袋をつけて、常時出てくるものをそこに貯めましょうってのがストマ。ある程度たまると、自分でその袋から『排泄』するというものである。
イレウスとは、『腸閉塞』のこと。腸の手術を受けた人に多く見受けられるらしいが、ようするに腸が詰まっちゃって内容物の流れが悪くなることを言うらしい。多くはしばらく様子見ると症状は改善されるようだけれど、ひどい場合は処置が必要となる。

数日前の夕方、いつものようにじろじろの病室を訪れた。Mamaが先に着いていて、これ又いつものようにベッドサイドで小さな丸椅子に座っていた。ところが、Mamaの表情がさえない。『今日は、あんまりいい状態じゃないな・・・』 ぼくは感じた。ぼくも小さな丸椅子に腰かけてMamaに話を聞くと、イレウスで苦しんでいるという。本人も眉間にしわを寄せ、唸っている。こうなると親であっても何とも無力なもので、ただただそばにいて見つめることしかできない。もちろん看護師も医師も、じろじろの状態を把握してくれている。その処置をぼくたちは信じて、お任せする以外にない。様子を見に来てくれた看護師さんは、 『しんどい? しんどいよね。』と短く言葉を交わし、後は点滴と痛み止めを確認して出て行った。ぼくたちとしては、もっとなんとかできないのかなって感じてしまうけれど、きちんとした診察に基づいた行動なんだろう。90分ほどベッドサイドでじろじろを見守って、ナースステーションに帰るのでよろしくお願いしますと声をかけその日は帰宅した。そして翌日。まだ眉間にしわが寄ってるのかな・・・、苦しがってるのかな・・・。ドキドキしながら、病室に向かった。病室に入ると昨日とは全く違う表情のじろじろが、けろっとして漫画を読んで笑っていた。どうやら、イレウスの症状は去ったようだ。じろじろの調子がいいと、Mamaの表情もとっても穏やかで明るい。そんな二人を見ていると、病室に入る前の緊張がほぐれ気持が温かく溶けだして行く。いつもの丸椅子に座って、ホッとしていると妙な妄想が浮かんできた。
『イレウスとストマ』 って人の名前みたいやな・・・。ストマをつけてからイレウスがやってきて、でもイレウスには来てほしくない・・・。イレウスはストマに引き寄せれたみたいで、でもストマはイレウスに近づいて欲しくない・・・。なんだか、人間の男女みたいだなって思えてきた。

ストマ  : 「もう来ないでって、言ったでしょ。あなたがが来ると、迷惑なの。」
イレウス: 「どうして、そんな事を言うんだい? 君のところには、いつもぼくが寄り添うようにいてたじゃないか・・・。」
ストマ  : 「確かに、私のところによく、イレウスは来たわ。でもね、それが迷惑なのよ。」
イレウス: 「じゃあストマ、もう来て欲しくない、縁を切りたいってことかい?」
ストマ  : 「イレウス、判って頂戴。あなたが来ると迷惑で、あなたが去ると穏やかな気持になれるのよ。」
イレウス: 「そうかい・・・、判ったよ。でも、また来てしまうかもしれないよ。」
ストマ  : 「もし私に近づこうとしても、白衣をまとったシークレットサービスが全力であなたを排除するわ。もう近づくことはできないのよ・・・。だから・・・、さようなら。」

なんて、くだらないシナリオを頭に浮かべては、一人悦に入っていいる。病気のじろじろを横にして、不謹慎だと思われるかもしれない。これから、まだまだ先は長い。医師の話では、1年はストマーをつけた状態が続くとのことである。そして1年経った時点で、ストマを撤去できるのかそれとも永久につけておかなければならないのかを判断しましょうとも仰った。ぼくは 『愉快で、面白い看護』 をこれからしていこうと思っている。ぼくたち親が暗い表情で沈痛になっても、何も事は好転しない。だったらできるだけ、明るい表情でじろじろと接していたい。だから不謹慎かもしれないけれど、『愉快で、面白い看護』を心がけようと思っている。愉しむと言うと語弊があるけれど、ぼくたち親もめったにできない経験をさせて貰ってるんだから、ネガティブに考えずにポジティブに向き合っていきたいって・・・。こんな変な妄想が出来ること自体、ほんの少し『愉快で、面白い看護』に近づいているのかも知れない。

by nishan-cordy | 2010-04-28 20:05 | 健康 | Comments(3)
Commented by tahoe at 2010-04-30 22:26 x
 にっしゃん、こんばんわ。
病は気からって言いますよね。
看病する側も気持ちの持ちようでご本人に対しての影響が違うと思います。

このシナリオをじろじろ君に話しましたか?
じろじろ君お腹がよじれちゃんうんじゃないかと・・・・笑

Commented by キャサリン at 2010-05-01 14:53 x
日記見たら、いつも書き込みせず読み逃げでした。ごめんね。
じろじろ!頑張ってる・・・うん、皆家族すごい。

私、在宅ヘルパーしてたでしょう。その時、寝たきりの方や色々な所に介護行ってたんです。
結構、その行き先の方の人生を背負ったみたいな気持ちで、介護終えて帰宅してたの。
でもね・・・、いつも、訪問の時は玄関のベルを鳴らすとき~「よっしゃ!」と気合入れてピンポ~ン♪
一緒に居れる時間は、限られているけど・・・まさに「愉快で、笑いのある時間」を共有していました。
お仕事で行っていたけど、相手の方から色々なことを学びました。
ほんま、病は気から・・・ですね。
看護も、気からですね。

なんか~日記見る私も、気からですね。(笑)
へんてこなコメントでごめんね~。
「気」はあるねんでぇ~~~しつこい!ってか?
ママに宜しくね。
Commented by nishan-cordy at 2010-05-01 17:30
tahoeさん
『病は気から』本当にその通りですね。病以外でも、『気』ってとっても大切だって思います。
お腹がよじれてこれ以上苦しむといけないので、じろじろにはこのシナリオ話してません(笑)。
日置川の土産話、今度聞かせてくださいね。たった2度しか行ったこと無いですが、間違いく
一番お気に入りな川です。是非また、ご一緒しましょうね。

キャサリンさん
ご活躍のご様子、いつもブログで拝見してます。
仰るとおり、笑いって大事ですよね。またぼくたちも、とても多くのの事を学びました。
ビジネス書やハウツー本が、馬鹿らしくなるほど、多くのことを学びました。
『気』があるのは、十分知ってますよ。だって初めての出会いのときも、キャサリンさん
とベッカムさんの『気』に引き込まれた様なものですから(笑)


【ご報告】
実は今朝、急にMamaから電話がありました。
じろじろが急遽、昼には退院できる事になったとのことでした。
ということでご心配をお掛けしましたが、本日無事退院しました。
これからが治療の始まりだって肝に銘じて、暮らしていこうと思っています。
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